2017年7月30日日曜日

IgA腎症 - 24日目 - 腎生検退院日

退院当日を迎えます。

腰に負担がかかる激しい運動はしてはいけない事になりましたが、
自由に動いて良いと言う事がどれだけ素晴らしい事なのかを噛みしめた入院期間でした。


当たり前の事ですが、終わってしまえば苦痛も過去の事になります。
痛い事ばかり書きましたが、腎生検をするか迷っている方はすぐにした方が良いです。
腎生検の痛みは2日も続きません。
しかし検査のチャンスを逃し、透析になれば苦しみは残りの人生ずっと続きます。


早めの痛みは後の苦しみを小さくします。
遅めの痛みは後の苦しみを大きくします。
僕の苦しみはまだどうなるか解りませんが、この決断は間違っていなかったと信じています。


4人部屋の人達は、皆さん素晴らしい患者さんたちで、とても運が良かったと思います。
お別れが悲しい気持ちになりましたが、ここは病院なので「さよなら」は悪い事ではありません。

もう会う事も無いでしょう。
僕を含めた全員の健康を祈り、病院を後にしました。

2017年7月29日土曜日

IgA腎症 - 22日目 - 腎生検当日(後編)

腎臓の組織を無事に採取された僕は、4人部屋に戻されました。


ここからは絶対安静の時間の始まりです。
仰向けにされて背中に圧力をかける為の固い枕のような物を挟まれました。
まさかこの固い枕が、あんなにカチコチになんて思いもしませんでしたが・・・・


絶対安静の時間を有意義に使うなんてことは出来ません。
絶対安静の時間は3時間程度だと聞かされていました。
3時間なんてあっという間です。
とにかく動けないので寝るのが一番の時間の使い方です。


眠ります
目が覚めます。
まだ1時間しか経っていません。
もう眠たくありません。

地獄の時間へようこそ。


どんどん体が痛くなってきました。
特に痛いのは背中です。

あの固かった枕はどんどんパワーアップし、石のような尖がりで僕を襲います。

とにかく痛い。


残り2時間。
とにかく1秒が長く感じます。
他の事を考えられない程痛い。

もう数を数えるしかありません。
2時間は120分
120分は7200秒

7200から数を減らしていくほど残り時間は減っていく
0に近づくにつれて加速度的に1の数に占める残時間の割合は大きくなっていく
数字は加速していくにつれて1の数に占める苦痛の割合は小さくなっていく


思考回路は痛みで意味不明の理論が展開されていました。
そして残り10分。


看護師さんを呼びました。
「そろそろOKですか?」

看護師さんは言います。
「残り10分です。」


無駄な抵抗は終わり、10分が過ぎました。
背中の固い枕ともおさらばです。


さようなら岩枕さん


そこからも安静は続きます。
さっきよりもマシですが、安静時間は続きます。

トイレは尿瓶で行います。
既に消灯後だったので暗くて良く解りませんが、オシッコがとにかく赤いのが解ります。
腎臓に穴を空けたから当然なのですが、ショックでした。


感想を言えば腎生検は二度とやりたくありません。
しかし病気の性質上やらざるを得ない日が来るかもしれません。

医療が進めば無くなるのでしょうか。
技術の時計の針が早く進むのを切に願います。

IgA腎症 - 22日目 - 腎生検当日(前編)

今日は腎生検を行う日です。


腎生検とは背中から針を刺して、腎臓の組織の一部を採取し、
顕微鏡で腎臓の組織を調べる検査の事を言います。

腎臓には絶えず血液が流れている為、針を刺して穴を空けると
大量に出血してしまうので、すぐに背中に圧力をかけて止血し、
その後は全く動けない絶対安静が求められます。


そしてその時間がやってきました。

うつぶせになり、背中を消毒され、血圧計等の機器が装着されていきます。
麻酔を打たれますが、局所麻酔なので意識はバッチリあります。


部屋の中はあくまでも和やかで、笑い声が聞こえてきてもおかしくない雰囲気でした。
そこまで難しい検査じゃないんだなと少し安堵し、精神的に落ち着いてきた時、先生が言いました。


「背中が固くて針が刺さらない」


ん?
僕は困惑します。
まさかの失敗?
失敗→再検査だけは絶対に阻止して貰わなければなりません。
人生には限りがあります。
無駄な事に大切な時間を費やしたくはありません。


先生から質問されました。
「何か運動をしていますか?」


腎生検は太り過ぎている人や筋肉が付き過ぎている人は出来ないと事前の説明にありました。
僕は痩せていますが、思い当たる事があります。


「クライミングをやっており、体を鍛えています。」


ボルダリングを週6時間を2年続けていました。
それはこんな形で健康の邪魔をするとは思ってもいませんでした。


「こんな固い背中は初めてだ」
先生はそう言い、唸りながら僕の背中に針を刺します。


先生、もっとグリグリやってください。
痛くはありませんので
あっ
刺さった・・・・


腎臓の組織は無事に採取され、部屋に安堵感が漂い始めました。


すると突然、謎の体調不良が襲い掛かってきました。
とにかく気分が悪いのです。


「血圧が下がっています。」


深く差し過ぎて大量に出血したのでしょうか。
背中を思いっきり抑えられます。
気分が悪いので、圧力を掛けられると不快感極まりです。


数分後
嘘のように気分が良くなりました。


怖かったので、最後に質問しました。
「腎臓は取れましたか?再検査とかはしなくて良さそうですか?」

「問題なく取れましたよ」

「良かった・・・・・」


後編へ続きます。

IgA腎症 - 21日目 - 腎生検前日

いよいよ検査入院の被がやってきました。

腎生検は明日に行われるのですが、
準備期間として前日から入院する事になっています。
個室は予算的に厳しいので4人部屋を選びました。


腎臓内科に入院している人は大きく分けて4種類の人がいます。
1.腎生検の患者
2.腎炎の患者で、腎臓が悪くなり始めている
3.糖尿病の患者で、腎臓が悪くなり始めている
4.既に腎臓が機能しておらず人工透析用の手術をする患者


僕は「1. 腎生検」に該当しますが、最も患者数で多いのが「3.糖尿病」の患者さんでした。
糖尿病と腎臓病は関係が深く、糖尿が腎臓にダメージを与える事を知りました。


僕は後に「2.腎炎」の患者として再入院する事になるのですが、
それは今後のブログで紹介して行きます。


「4.人工透析」の患者さんは皆、口をそろえて言います。
「食事には気を付けたほうがいいよ」

その言葉の真の意味を分ってはいませんでしたが、
彼らを見て、これからずっと透析を続けていく事の苦しみを感じました。


明日は腎生検の日です。
「この段階でしっかり検査、治療して透析を回避したい。
きっとまだ末期ではないはず・・・」

その日は周りのイビキで眠れませんでした。

2017年7月28日金曜日

IgA腎症 - 13日目 - 入院前検査

腎生検をする事になりましたが、入院までしばらく日数がありました。
そこで入院が本当に必要なのかの外来での尿・血液検査をもう一度だけ行いました。


「ここでいい数値が出たら入院なんてしなくてもいいのでは・・・」
検査の数日前から睡眠時間を多めに取り、疲れないように過ごしました。


そして検査当日。
数値はもちろんアウトでした。

クレアチニン1.31
尿蛋白2+
潜血反応3+

検査入院が確定した瞬間でした。
正確には既に確定していましたが、僕の心に決心がついた瞬間です。


腎臓が悪いのは説明を受けて解っていました。
しかし何の病気かは解らなかったので、可能性の範囲で先生に尋ねます。


「IgA腎症の可能性があります。」


もちろん聞いたことがない病気です。
今まで生きてきて何度か入院した事がありました。
ただしそれらは全てケガによるもので、内臓が悪いなんて考えたもありませんでした。


IgA腎症で検索します。
出てくる内容は恐ろしい事ばかりです。
ただし、すぐに死ぬ病気ではないと知りました。
さらに難病指定されている為、医療費は限度額が定めてある病気でした。

「IgA腎症の可能性があります。」

まだ可能性の話です。
もっと簡単に解決するかもしれません。


先の事は考えても解りません。
とりあえず検査入院してどんな結果が出るかが全てです。

2017年7月27日木曜日

IgA腎症 - 6日目 - 腎臓内科

紹介してもらった腎臓内科に行くことになりました。
既に熱は下がっており、体調も回復していました。


「疲れが溜まっているだけだろう」
僕は心配性だけど胸の中は希望で溢れている、といった人間です。


尿と血液を採取されて、結果が出るまで1時間程度待つ事になります。
予約しているとはいえ、大きな病院なので患者が物凄く多く、時間がかかります。
「この待ち時間とも、今日でお別れだ」


僕の番号が呼ばれて先生に会いに行きます。
そして結果が告げられました。


クレアチニン1.31
尿蛋白2+
潜血反応3+


先生
「潜血反応の赤血球が変形しています。腎臓からの出血の特徴です。
詳しい症状は『腎生検』をしないと解りません。」


腎生検とはなんぞや・・・・・


聞いた事の無い単語でした。
検査入院だと言う事を説明で理解しましたが、ベットの都合もあるので、
明日や明後日には出来ないとの事でした。

幸い僕はサラリーマンでは無いので時間の都合は付きやすく、
とにかく最短で検査してもらうようにお願いしました。


入院まで少しの間があるので、もう一度検査する日程を決めて、その日を終えました。

IgA腎症 - 1日目 - 血尿

病気とはある日に突然襲ってくるものです。
僕はIgA腎症と呼ばれる病気になりました。


企業に勤めている方で、健康診断を年に一度行っている場合は早期発見が見込まれますが、
僕の場合は、そうではなかったので近所の内科で診断した際に異常が見つかりました。


もともと、疲れやすい体質だったのもあり、普段からあまり自覚症状が無かったのですが、
先月にインフルエンザに罹ったばかりなのにすぐに高熱を出したので、
今度もインフルエンザかなと近所の内科に行きました。
まだ子供が産まれたばかりだったので、インフルエンザをうつしたら大変です。


先生は鼻に検査用の綿棒のようなものを入れて言います。
「インフルエンザの反応が出ませんでした」

「赤ちゃんにうつさなくて済みそうで良かった・・・・」
僕は安堵して、その時はそのまま家に帰りました。



数時間後、誰の目から見ても解るような麦茶のようなオシッコが出ました。
嫌な予感がしました。

僕は自分の中では比較的、体に気を使っています。
お酒も飲みませんし、煙草も数年前に辞めました。
運動も週に6時間ぐらいするようになり、体も強くなっているのを実感している所でした。

まだ時間も明るかったので、熱はありましたが、別の病院に急いでいきました。
僕の希望で、尿検査と血液検査をしてもらう事にしました。
先生は言います。
「背中は痛くないですか?」
「足のむくみは無いですか?」


なんとなく何かの典型的な症状が出ている事を察しましたが、
先生の言う内容に当てはまらなかったので、問題ないと伝えました。


その時はまだ検査の結果の数値を見ても解らなかったのですが、
クレアチニン1.19
尿蛋白3+
潜血反応4+
という恐ろしい値が出ていました・・・・・
大きい病院を紹介され、その場で予約をして貰いました。


「最近は忙しくて疲れが溜まっているだけだろう
大きい病院で自分の健康を証明して安心しよう」
僕はそう考えて、その日を終えました。